下の親知らずが生えている部分は、顎と密接に関係があります。
顎につながる歯の神経が通っていたり、歯自体が顎の骨とくっついているので、
抜歯の際、状況によっては顎の骨にあたる部分を少し削ることもあります。
さて、顎の炎症と言えば、
「顎関節症」という言葉を耳にされる方も多いのではないでしょうか。
「口を動かす時に顎が鳴る」「口が大きく開かない」「顎が痛む」、
これが顎関節症の三大症状です。
原因として、顎に余分に力を入れてしまう、
食べ物を噛む時に左右どちらか一方で噛む癖がある、
ストレス、かみ合わせの悪さなどがあげられます。
顎の筋肉とも密接な関係があり、かたいものを噛まない
傾向にある(顎の細い)現代人の中では
よくある症状のひとつとされています。
親知らずを抜歯すると、抜歯直後は特に、開口障害がおこることがあります。
抜歯後に炎症が起こり、3日~1週間程度は腫れや痛みが続く場合もありますが、
この症状は親知らずを抜歯したことによる一時的なもので、顎関節症とは別の問題です。
治癒していくにつれ自然と腫れはひいて、痛みもなくなってくるのが普通ですので、心配することはありません。
しかし、抜歯直後であるにも関わらず、
まだ炎症の残る親知らず痕の周辺に何らかの負担をかけるようなことがあれば、
それがきっかけで一時的なものであるはずの炎症が悪化し、顎関節症を発症する可能性はあります。
親知らずの抜歯後はとにかく安静に、また主治医の指示にしたがってケアをすることが大切です。
顎関節症になると、口腔外科での様々な治療が必要になりますが、
いまだ「これ」という決定的な治療法は確立されてはいません。
マウスピースなどで対応することが多いです。
通常のケアをしていれば多くの場合防げる症状なので、
主治医の指示に従って適切なケアをすることを十分心がけましょう。